ボーイズラブに興味のない方はご注意ください。
ぜひ、ブログ村ランキングをクリックしてくださいませ。 よろしくお願いします。

2011年12月27日

おじさんの青年サンド


 
 虎徹の素肌の上を二人の男の手が這い回っていた。それだけならとても淫靡な光景で誰もが目を背けたくなったかもしれない。
 けれど、彼ら三人の表情はどれも幸福そうでもあった。
「あ、あっ……」
 虎徹の荒い息をバーナビーがキスで吸い上げる。
「おじさん……、ほらもっと腰を下げないとスカイハイ先輩があなたの中から出ちゃいますよ」
「や、バニー……、おまえのが……」
 虎徹はいやいやと首を振る。キースのそれは大きすぎて虎徹の襞を傷つけやすいのだ。
「次は僕です、順番です。あなたを犯すのは二人平等ですから。ほら、我慢して腰を落として」
 虎徹の両手を握りバーナビーは囁いてキスをしながら宥める。
「ワイルドくん、ゆっくりね……、きみを傷つけたくないから、ゆっくりと……」
 声は優しいくせにキースは、虎徹の腰を鷲掴みぐっと自らが突き上げてきた。
「ひっ」
 痛みに目を白黒させている虎徹の口をバーナビーが優しく吸い上げる。虎徹の乳首に指を絡めて、捻りながら引っ張り、突き出た尖りを指の腹で擦るのだ。
 じりじりとした痺れが体中を駆け巡り、虎徹の強ばっていた体から力が抜けていく。抵抗がなくなった体に硬いそれがずぶずぶと奥まで入った。
「あ、っふ……、く、るし……」
「虎徹さん」
 バーナビーがキスをして虎徹と舌を絡めてくる。それにうっとりとして虎徹は夢中になった。
 我知らず腰を動かし中のそれを味わう。下から激しく突き上げて揺さぶられる体をバーナビーがしっかり抱きしめてくれていた。
「バニー……」
 熱いバーナビーの腕に体を包まれて、虎徹はうっとりと目を閉じるのだった。
 それに嫉妬したのか、キースが中を激しく突き上げた。
「あぁっ……、キース……」
 どちらかの名前を呼べば、どちらかが嫉妬する。
 虎徹は困った顔で微笑んだ。



 スカイハイことキース・グッドマンが、恋心を抱いて相手を自ら手にかけてしまったことは神様の悪戯なのだろうか。
 そして、彼自身がその事実を知ってしまったことも偶然であるとはいえ、それが神の采配なのだとしたら、それは、神の与えし試練にしてはあまりにも残酷ではないだろうか。
 だがそうして神様を信じるなら、ヒーローなんていらないはずだ。
 しかし、ヒーローも生身の人間だとしたらどうだろう。
 神様を信じている、とても普通の青年だとしたら。
 その、あまりにも残酷な運命の仕打ちに、神様を呪ってしまいたくなるはずだ。
 たとえ、その想いを寄せた相手が、人間ではないアンドロイドであったとしても、人の心はそう割り切れるものではない。
 キース・グッドマンという男は、理屈で感情を制御できる性格ではけしてなかった。
 そのことを、虎徹はよくわかっていた。
 だからたとえ偶然であれ、虎徹がそれらのことを知ってしまった時、もうこれは必然だったのではないかと思ってしまったのだ。


 虎徹が能力減退を理由にヒーローを引退してから、数ヶ月が過ぎていた。
 ヒーローを辞めて自分は何をしようかと虎徹は考えた。誇れるものといえば体力しかない。実家の家業である 酒屋を手伝うことしか当分の仕事というものは見当たらなかった。だが、自分だけにしかできない何かがないだろうかと考えて、そして虎徹は自身がヒーロー時代に関わった事件について調べはじめることにしたのだ。
 捕らえられた犯人たちがその後どのような判決が下され、現在どうしているのか。
 また、彼らが犯行に至った経緯まで、可能な限り資料を取り寄せ、また自ら関係機関に足を運んで調査をした。
 虎徹がワイルドタイガーという元ヒーローだということを世間の人々は知らないので、中には問い合わせると不信な対応をされることもあった。
 あきらかに警戒されて、なにかろくでもない事件を起こしそうだと疑われたのか、危うく警察に通報されそうにもなったこともある。
 それでも虎徹にはヒーロー時代に気付いたコネクションが多少なりともあり、ネイサンはヘリオスエナジーの オーナーでもあったから、場合によっては上の力を利用できることもある。
 そしてヒーローテレビの敏腕プロデューサーであるアニエスは情報通だから彼女自身のコネクションは多方面に渡るので紹介してもらえることもできた。
 元上司のベン、それからロイズからも不可思議な顔をされながらも連絡を取り可能な限りの資料を集めることができた。
 虎徹が現役ヒーローだった時代は長年に渡るので、中には不起訴になった小さな事件もあり、関わった人々の足取りさえ掴めないものもあった。
 それでも過去を遡り、ひとつひとつの事件を虎徹はノートにファイルしスクラブブックとしてまとめていったのだ。
 あえてパソコンを使わずノートファイルに記事と資料を糊付けした。その横に聞いたこと見知ったことはメモ書きにしていく。
 そうすることで時間軸をおって過去を整理できるような気がしたからだ。
 もしも他人から何故そんなことをするのかと問われたとしても、虎徹にはうまく答える自信がなかった。
 なぜなら自分でもどうしてこんな手間のかかることをはじめてしまったのかと少し後悔しはじめていたからだ。
 それでもはじめたからにはと意地になって取り組んでいる部分もあったのかもしれない。
 そして、きっとそれが完成した時にある答えがみつかるのではないかという考えもあったのだ。
 それでもこの作業は意外と思っていたより骨が折れるものだった。元来、虎徹は面倒臭がりで飽きっぽく、事務作業というものが苦手で頭で考えるよりも体を動かしている方が好きなのだ。だからヒーローという職業は自分にとって天性の職業だったといまでも思っている。
 ヒーロー時代に事件報告として資料を作成することもあったが、それこそ苦手な作業のひとつであった。相棒ができたとき、これ幸いとバーナビーに事務作業のほとんどを押し付けたものだ。もちろん、彼は素直にはいと引き受けてくれるようなおとなしい性格をしていないので、バーナビーは不満を顕にして虎徹を怒ったが、それもまた、今ではいい思い出でもある。
 そのバーナビーとは、虎徹は時折だが会っている。
 田舎に帰ったからといってはいそこでお終いという関係ではもうなかったからだ。
さいしょの数カ月は、すぐに連絡を取るのも慣れなれしいおじさんだと思われないかと躊躇いもして、気軽に電話することさえできなかった。
 それでも数ヶ月がすぎてもバーナビーのことを考えている自分に虎徹は気づかされる。彼の生い立ちはあまりにも辛くて悲しいものだ。子供の頃に両親を殺された現場を目撃してしまい、さらに成人し大人になってもまた彼を陥れようとしたマーベリックの陰謀により、バーナビーはようやく信じられる仲間を手に入れたというのに、虎徹を疑い、存在を忘れ、さらには殺そうとまでしてしまった。
 NEXTの能力による記憶の改竄が原因だったとしても、それは彼の心に深傷を負わせた。
 そうしてバーナビーのことを思って彼について考え続ければ下手な意地など張っている場合ではないと気づき、虎徹は思い立って彼に電話をかけたのだった。
 それは虎徹がシュテルンビルトを出てからすでに三ヶ月の時が過ぎてからのことだった。


P01-見開き.jpg

冬コミ発行「おじさんの青年サンド」A5/100P/900yen
posted by アホリーナ at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | @T&B | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。